
『裂け目からの生成――ラカンの名誉回復とEthoMathの誕生』
序章 ラカンをもう一度読むためにフロイトの名を冠する精神分析の伝統において、ジャック・ラカンという人物ほど、評価が分かれ、誤解され、同時に神話化された思想家は稀である。彼の言葉はしばしば「難解」と形容され、その体系は専門家のあいだでも合意を...

『欠如を引き受ける国――日本再構成のための構造倫理』ーーラカンサルヴァティズム的国家設計論
欠如を引き受ける国ーーラカンサルヴァティズム的国家設計論序章:問いは今も語られていない――欠如の国に生きるとは何か日本は、戦後という時代を生き続けてきた。しかしその「戦後」とは、一体何の後だったのか。単なる敗北の記憶ではない。国家としての象...

第二部 応用と発展:ラカンサルヴァティズムの実践可能性
第八章 政治理論──保守と自由、共同体の再定義はじめに──〈政治的なるもの〉と無意識ラカンサルヴァティズムは、政治的立場であると同時に、精神分析的倫理の延長線上に位置する。ここで問われるのは、「政治とは何か」ではなく、「政治とはいかなる〈構...

第一部 理論編ーーラカンサルヴァティズムの基本構造
第一章 ラカニアン・レフト批判と〈法〉の再評価1.1 ラカンの政治的運用――左派における受容史ジャック・ラカンの精神分析理論は、1980年代以降、とりわけジジェク、ルクラウ、マフレー、そしてスタヴラカキスといった思想家によって、いわば〈左派...

序章:「ラカン保守主義」の時代的要請
21世紀の政治的・文化的状況において、保守主義は再びその根源的意味を問い直されている。かつて「古き良き秩序」や「伝統の保守」として理解されたそれは、グローバリズムの加速、情報技術の爆発的発展、価値観の相対化、さらには人間存在そのものの不確実...